進化する「織り織りのうた」は、ついに布や糸を自分達で染めてみることにしました。
今回〈前編〉、次回〈後編〉の2回にわたり、草木染め体験いたします。
これまで「織り織り」の色は、支援を頂いた布そのままの色、
その多くは化学染料で染められたTシャツ類で発色の良いの色でした。
これは、すばらしい色と織りの世界を自由に表現できる素晴らしい初体験となりました。
しかし、昨年の秋「織り織り」も参加させてもらった盛岡カワトク壱番館での「スピンクラフト岩泉・手紡ぎ毛糸展」で主宰する叔母の手紡ぎ染色作家・工藤厚子の仕事の全貌を間近に目にすることになったのです。
岩泉町の「てどの蔵」の暗がりで紡いでいた糸が、こんなにも鮮やかで深い色だったのかと感激したのです。
なんと、自然の草や木のだす色の美しいこと、豊かなこと。すべて岩泉で染めた草木の色でした。
それは、決して化学染料にはない「本物の色」だったのです。
すでに高齢となった彼女の染めの技をぜひ教わりたい。
草木を染める話を聞きながら、その通りやってみたいと思ったのでした。
「草木染めに一番適した季節は、芽生えの前だよ。」
「桜のあの色は、花の色では出ないの。」
「冬の間じっと蓄えられて、芽生える前に切った枝で染めるとほんのり桜色が出るんだよ。」
「ほかの木も雪解け、冬の終わりがいいよ。春の前に来なさい。」
* * * *
というわけで、「岩泉スピンクラフト」の染色工房におじゃましてしまいました。
岩泉の遅い春も、すでに芽生えが始まってしまいましたが、この時期、染まる木はなんでしょう?
2種類用意してくださいました。
「雪柳」
「インド茜」
インド茜は日本の茜とはちがいます。インドの茜の木の根です。
この色は、ヨーガの聖地インドの高僧たちが纏う高貴な色なので探しておいてくださいました。
それでは早速、作業開始!
まず、染料に合わせてそれぞれ染める布の重さを測った後、水で洗います。
染める布は、綿晒しとネルにしました。
雪柳の枝葉を入れ弱火で抽出液を煮だします。
ローズマリーのような?良い香りです。なんだか幸せ〜。
良い香りの時はよく染まる兆し。いやな匂いの時はあまりよい結果にならないのだそう。
へえー自然って不思議〜。
色が出たら枝を取り出します。温度を測ります。
決まった温度になったら火を止めて、布を投入、このまま20分放置します。
つづいてインド茜。同じく煮だした抽出液の温度を測ります。
温度管理と分量は大事。適当は、何やってるかわからなくなるからね。
布入れると、一気に染まります。
うわー、きたー!これです、この色、インドの色。
なんだか、スパイスの香りまで漂ってきそうです。いい感じでございます。
染めを待つあいだ、しばし休憩。お話を聞きました。
つづく・・・